乾癬性関節炎(関節症性乾癬)とは

ABOUT 乾癬性関節炎(関節症性乾癬)とは

乾癬性関節炎の症状

乾癬の皮膚症状とともに関節の腫れや痛みを伴うもので、患者さんによってはさまざまな症状があらわれることがあります。

乾癬性関節炎では、関節や手足の指の痛みだけでなく、爪が変形したり、腰や脊椎の痛み、指がソーセージのように腫れてしまう指趾(しし)炎、アキレス腱などの腱や靭帯の付着部炎などの症状があらわれる可能性があります1)

1)日本皮膚科学会乾癬性関節炎診療ガイドライン作成委員会:
日皮会誌 129(13): 2675-2733,2019.

乾癬の種類

乾癬は通常、
尋常性乾癬
じんじょうせいかんせん

乾癬性関節炎
かんせんせいかんせつえん
関節症性乾癬
かんせつしょうせいかんせん
)、
膿疱性乾癬
のうほうせいかんせん
乾癬性紅皮症
かんせんせいこうひしょう

滴状乾癬
てきじょうかんせん
の5種類に分類されます。
ビンゼレックス®は、このうち尋常性乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に対して
使用可能な薬剤です。

※ビンゼレックスの効能又は効果は「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎 」です。

末梢関節炎

末梢関節炎の特徴

手足の指の関節が痛くなり、こわばりや腫れ、赤み、熱っぽさを生じます。関節リウマチと似たような症状ですが、関節リウマチは左右対称に症状があらわれることが多い一方、乾癬性関節炎の場合は左右非対称に症状があらわれることが多いです。関節炎が長引くと関節部の骨が破壊され、関節の変形が生じます1)

体軸関節炎

体軸関節炎の特徴

腰や背中、首などに痛み・こわばりが生じます。就寝時に痛みで目が覚めてしまったり、起床時にはこわばりのためすぐに起き上がれないことがあります。日常生活でも首や腰を曲げる際などに痛みを生じますが、運動などで体を動かすと症状が和らぐという特徴があります1,2)

付着部炎

付着部炎の特徴

乾癬性関節炎患者さんの約半数にみられる症状で、荷重のかかりやすいアキレス腱や足裏、膝や骨盤周囲などに炎症・痛みを生じることが多いですが、全身のあらゆる部位で症状が起こる可能性があります1)

指趾(しし)炎

指趾(しし)炎の特徴

乾癬性関節炎患者さんの約20%~30%にみられる症状で、手足の指全体が腫れ、ソーセージのような見た目になります。手の指よりも足の指に生じやすいですが、足の指に症状が出ると痛風と間違われることがあり注意が必要です1)

参考文献

1) 日本皮膚科学会乾癬性関節炎診療ガイドライン作成委員会:日皮会誌 129(13): 2675-2733,2019.

2) 日本脊椎関節炎学会 編:脊椎関節炎診療の手引き2020. 診断と治療社, 2020.

乾癬性関節炎の発症の仕組み

炎症を促進する作⽤をもつ物質が、皮膚、
また手指やひざなど全身の関節に影響する

乾癬と同じように乾癬性関節炎も免疫の異常が原因と考えられており、本来は私たちのからだを守るサイトカインのTNFαやIL-23、IL-17が過剰に増えてしまうことで、関節にも影響を与えてしまいます2)
そのため、乾癬性関節炎の治療では、患者さんの症状に応じて、増え過ぎたこれらのサイトカインを抑えるはたらきをもつ生物学的製剤が選択されることがあります。

サイトカインとは、本来、免疫にかかわる細胞が異物から体を防御するため、体内に放出する物質のことです。免疫の異常によりサイトカインが過剰につくられると、乾癬や乾癬性関節炎をはじめとしたさまざまな病気が生じると考えられます。IL-17AおよびIL-17Fが増えると、皮膚や関節の炎症を起こし、乾癬や乾癬性関節炎の発症や症状の悪化につながると考えられます3)

  1. 1)日本皮膚科学会乾癬性関節炎診療ガイドライン作成委員会:日皮会誌 129(13): 2675-2733,2019.
  2. 2)Hot A, Miossec P. Ann Rheum Dis 70(5):727-732, 2011.
  3. 3)McGeachy MJ, et al.: Immunity 50(4):892-906, 2019.

乾癬性関節炎の治療法

乾癬性関節炎の治療は、大きく外用療法(塗り薬)、内服療法(飲み薬)、生物学的製剤(注射)の
3つに分けられます。ビンゼレックス®は生物学的製剤に分類されます。
乾癬性関節炎の重症度や進行度合い、症状があらわれている部位などを考慮して治療法が選択されます。
お薬を使った治療以外にも、禁煙指導や肥満であれば体重減少などの生活指導も併せて行われます1)

治療部位 治療薬 薬の種類
局所療法 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 塗り薬など
ステロイド 注射薬、
塗り薬
全身療法 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 飲み薬
従来型抗リウマチ薬 飲み薬
ステロイド 飲み薬
免疫抑制剤 飲み薬
PDE4阻害薬 飲み薬
JAK阻害薬 飲み薬
レチノイド 飲み薬
生物学的製剤 注射薬
その他の
治療法
顆粒球単球吸着療法(GMA) -
光線療法 -
禁煙 -
運動療法と作業療法 -
体重の減量
(過体重/肥満患者)
-
手術療法
(不可逆的変形)
-
患者教育 -

1)日本皮膚科学会乾癬性関節炎診療ガイドライン作成委員会:日皮会誌 129(13): 2675-2733,2019より改変

乾癬性関節炎を悪化させる可能性のある主な要因

乾癬性関節炎の治療をしている間も、⽇常⽣活の⼼がけで症状の悪化を防げる可能性があります。

関節症状を悪化させる要因

  • 肥満

    肥満は乾癬性関節炎の悪化と関連するだけでなく、肥満を解消することで治療効果にも良い影響を与えるとされています。栄養バランスのとれた食生活、適度な運動を心がけましょう。

  • 喫煙

    喫煙は乾癬性関節炎と合併しやすい心血管疾患などを発症しやすくなるため禁煙にチャレンジしましょう。

皮膚症状を悪化させる要因

  • 過度な飲酒

    お酒により血行が良くなり、かゆみが増すことがあるので控えめにしましょう。

  • 皮膚の乾燥

    乾燥により皮膚の症状が悪化することがあるため、特に冬は保湿を心がけることが大切です。

  • 高温や長時間の入浴

    高温や長時間の入浴によりかゆみが増すことがあるので、温度はぬるめとして長時間の入浴はできるだけ避けましょう。

  • 衣服

    皮膚に刺激があると皮疹が悪化します。

    肌がこすれにくいゆったりとした衣服を選びましょう。

    柔らかく刺激の少ない素材を選びましょう。

1)日本皮膚科学会乾癬性関節炎診療ガイドライン作成委員会:日皮会誌 129(13): 2675-2733,2019.

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