乾癬患者さんにとって役立つ情報の探し方・活かし方とは| 乾癬治療【明日の乾癬 by UCBCares】
専門医に聞く乾癬治療
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医療法人 日野皮フ科医院
院長
インターネットやSNS上で玉石混交の情報が氾濫する今、乾癬に関する情報も以前と比べ格段に増えています。しかし、患者さんがその情報の真偽を見極めることは“至難の業”です。日頃から、インターネットやSNSを駆使し、乾癬患者さんに向け、積極的に情報発信している日野皮フ科医院 院長 日野亮介先生に情報の探し方や内容を見極めるポイントを伺いました。
乾癬という病気は、同じように長期間にわたって治療でコントロールする病気である糖尿病や高血圧などに比べると、まだまだ一般に知られていないのが現状です。しかも、皮膚に症状が出て見た目にはっきりわかる上、「かんせん」という音の響きから「うつるの?」と誤解を受けることもあります。そのため、乾癬患者さんの中には、傷付き、疎外感に苛まれて、孤立してしまう人も少なくありません。
乾癬患者さんがこのような経験をしないで済むようになるには、「正しい乾癬の知識を得られる情報」と「患者さんの孤立を防ぐための情報」が増えることが大切です。
乾癬の場合、情報の量が多ければ良いわけではなく、正しい知識を得られる情報であることが重要です。情報の真偽を見極めるために必要なのは、
① 情報源が明示されているか
② 情報の根拠が明確になっているか
③ 誰もが検証できる情報であるか
という3 つの視点です。
たとえば、『皮膚科医が伝える とっておきの乾癬の治し方』といったタイトルの記事や書籍があるとします。皮膚科医という“権威のある人”が書いているから正しい情報だと判断するのではなく、そこに書かれている治し方が論文や検証可能なデータなどの根拠に基づいて書かれているか、が重要なポイントになります。
「INSPIRE JAPAN WPD 乾癬啓発普及協会」という、全国の乾癬患者さんと乾癬専門医がつくる啓発団体では、発信する情報に根拠となる論文やデータをできるだけ明示したり、医療監修を付けたりすることによって、正確な乾癬の知識の向上に努めています。特にインターネットで情報を得る時には、このような姿勢で発信をしているかどうかをチェックしてみても良いでしょう。
なお、情報源が明示されている場合は、その情報源が信頼できることが必要不可欠になります。そのような情報源として、私は日本皮膚科学会や公的医療機関、製薬企業のウェブサイトを推奨しています。これらの団体や企業は、科学的根拠を基に乾癬とその治療法について情報を発信しています。
ただし、こうした情報源が発信している情報は、知識を得るためには有益ではあるものの素っ気なく、一般の人に向けては必ずしも魅力的でわかりやすいものであると言えないことが多いのも事実です。
乾癬患者さんにとって必要な情報とは、「日常生活に役立つ情報」と考えます。そうした情報を発信している情報源に乾癬の患者会があります。患者会がインターネットやSNSで発信している情報は、患者さん自身の経験を基にしているので、受け手の患者さんにとっても有益な情報であり、思いやつらさを共感できる情報でもあります。
最近では、無料通信アプリ「LINE」のグループトークを使って患者さん同士が気軽に交流できるようにしている患者会もあります。悩みや不安を打ち明け合ったり、共感が得られる貴重な場所になっているようです。
患者会は全国に24 団体がありますが、私を含め皮膚科の専門医も相談医として参加していて、悩みの相談にのったり、医学的な内容のチェックをするなど、情報の正確性や公平性の担保に努めています。
私は、患者会が開く学習会に参加することを患者さんにお勧めしています。乾癬について正しい知識を学ぶだけでなく、心から理解し共感してくれる人に出会うことができるからです。
そうした交流を通して自分自身を見つめ直し、治療に希望が持てるようになった患者さんは大勢いらっしゃると思います。
乾癬患者さんにとって、正しい知識を得ることはもちろん大切です。しかし、それ以上に大切なのは、一緒に情報の真偽を考え読み解いてくれる仲間であり、「一緒に治療をしよう」と気持ちを後押ししてくれる仲間です。症状が悪化した時に真剣に考え、時には涙を流してくれる仲間がいること
――それが患者さんの幸せにつながると思います。
「乾癬治療」は映画のようなものかもしれません。その映画はあなたが主役で、症状改善のために仲間の患者さんと共に治療に立ち向かう苦しみや喜びが綴られた長いストーリーです。それを温かく支える家族や友人が助演で華を添え、そこに私も“チョイ役”ですがあなたを見守る医師として出演しています。ですので、どのような時でも気兼ねなく安心して頼っていただけたらと思います(笑)。
「Rebrand Yourself vol.2」2022年7月掲載
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