乾癬とは

乾癬の症状

皮膚症状の他、患者さんによっては
別の症状を伴うことがあります。

乾癬では、

鱗屑

りんせつ

（銀白色のフケのようなもの）、

紅斑

こうはん

（皮膚の赤み）、

肥厚

ひこう

（皮膚の盛り上がり）、かゆみなどの皮膚症状が代表的な症状です。患者さんによっては、関節の痛みや発熱や全身倦怠感などを伴うこともあります。

日本乾癬患者連合会：みんなで治そう乾癬ハンドBOOK '21年改訂版

乾癬の種類

乾癬は通常、

尋常性乾癬

じんじょうせいかんせん

、

乾癬性関節炎

かんせんせいかんせつえん

（

関節症性乾癬

かんせつしょうせいかんせん

）、

膿疱性乾癬

のうほうせいかんせん

、

乾癬性紅皮症

かんせんせいこうひしょう

、

滴状乾癬

てきじょうかんせん

の5種類に分類されます。
ビンゼレックス®は、このうち尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症^※、乾癬性関節炎に対して使用可能な薬剤です。

※ビンゼレックスの効能又は効果は「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」です。

尋常性乾癬
じんじょうせいかんせん

尋常性乾癬は乾癬の中で最も患者さんが多く、日本では全体の90％近くを占めると報告されています¹⁾。

写真：五十嵐敦之（古江増隆総編集）.ここまでわかった乾癬の病態と治療. 東京. 中山書店, p87, 2012

尋常性乾癬の特徴

鱗屑

りんせつ

（白っぽいフケのようなもの）、

紅斑

こうはん

（皮膚の赤み）、

肥厚

ひこう

（皮膚の盛り上がり）があらわれるのが特徴です。かゆみには個人差があり、強いかゆみを感じる場合もあります。
慢性的に刺激を受けやすい頭（頭皮や髪の生え際）、ひじ、ひざ、腰やお尻、すねなどに症状があらわれることが多いとされています²⁾。爪がはがれる、点状に陥没するなどの症状があらわれることもあります。

膿疱性乾癬
のうほうせいかんせん

膿疱性乾癬は、皮膚の発赤（赤み）とともに無菌性の膿疱（うみが溜まった水疱）が多数出現する疾患で、日本では乾癬全体の5％を占めると報告されています¹⁾。

写真：山本俊幸（山本俊幸編）.皮膚科ベストセレクション乾癬・掌蹠膿胞症病態の理解と治療最前線. 中山書店. pXVi , 2020

膿疱性乾癬の特徴

発熱、全身倦怠感、悪寒、紅斑、落屑を伴い、無菌性の膿疱が多発します³⁾。
皮膚症状が体の一部にみられる「限局型」と全身にみられる「汎発型」に大きく分けられます。

膿疱性乾癬の種類

膿疱性乾癬（限局型）

尋常性乾癬の周囲にみられる膿疱、あるいは両側の足の親指や土踏まずに限局した膿疱などを指します⁴⁾。

膿疱性乾癬（汎発型）

急激な発熱、全身倦怠感などの全身症状とともに膿疱が多発し、再発を繰り返すことも少なくありません⁴⁾。厚生労働省の特定疾患治療研究事業の対象疾患で、医療費の公的な助成を受けることができます。

乾癬性紅皮症
かんせんせいこうひしょう

乾癬の中でもまれな病型で、日本では乾癬全体の約1％と報告されています¹⁾。

写真：土橋人士ほか. 山本俊幸編. 皮膚科ベストセレクション乾癬・掌蹠膿胞症病態の理解と治療最前線. 中山書店. pXV , 2020

乾癬性紅皮症の特徴

乾癬の皮膚症状が全身に広がり、びまん性の赤み、銀白色や雲母様の厚い

鱗屑

りんせつ

がみられます⁵⁾。
最初から紅皮症となる患者さんはまれで、未治療や不適切な治療、薬剤、感染症などの影響により尋常性乾癬から移行する場合が多いといわれています⁵⁾。

乾癬性関節炎
かんせんせいかんせつえん
（
関節症性乾癬
かんせつしょうせいかんせん
）

乾癬の皮膚症状とともに関節のはれや痛みを伴うもので、日本では乾癬全体の6〜14％を占めると報告されています¹⁾。

写真：小林里実ほか（古江増隆総編集）. ここまでわかった乾癬の病態と治療. 東京. 中山書店, p100, 2012

乾癬性関節炎（関節症性乾癬）の特徴

痛みが出る場所は人それぞれですが、手指の関節や足の指のほか、ひじ、ひざ、肩や腰などに出ることがあります。長期にわたり痛みが続くと関節が変形し、日常生活に支障が出る場合もあります²⁾。

滴状乾癬
てきじょうかんせん

体幹や四肢に小さな鱗屑を伴う

紅色丘疹

こうしょくきゅうしん

（皮膚の表面から隆起した発疹）、

紅色局面

こうしょくきょくめん

がみられるもので⁵⁾、日本では乾癬全体の約4％を占めるという報告があります⁷⁾。
細菌感染症や病巣感染症に関連することが多いとされています⁵⁾。

写真：小林里実ほか（古江増隆総編集）. ここまでわかった乾癬の病態と治療. 東京. 中山書店, p100, 2012

参考文献

1) Ito T, et al：J Dermatol 45（3）：293-301, 2018

2) 古江増隆総編集．ここまでわかった乾癬の病態と治療. 東京. 中山書店, 2012

3) 小宮根真弓ほか. 困ったときに役に立つSTEP UP 乾癬診療. 東京．メディカルレビュー社，p42-51, 2019

4) 清水宏．あたらしい皮膚科学．東京，中山書店，p281-289, 2018

5) 山本俊幸編. 皮膚科ベストセレクション乾癬・掌蹠膿胞症病態の理解と治療最前線. 東京. 中山書店, 2020

7) Takahashi H, et al：J Dermatol 38（12）：1125-1129, 2011

乾癬の発症の仕組み

炎症を促進する作⽤をもつ物質が、皮膚をはじめ全⾝の様々な部位に影響する

乾癬は、免疫の異常が原因と考えられています。私たちの体を守る免疫が十分機能するためには、サイトカインと呼ばれる物質のはたらきが重要です。しかしながら乾癬では炎症を促進する作用をもつTNFαや
IL-23，IL-17と呼ばれるサイトカインが増え過ぎることにより、皮膚をはじめ全身のさまざまな部位に影響を及ぼし、症状があらわれると考えられています。そのため、乾癬の治療では、患者さんの症状に応じて、増え過ぎたこれらのサイトカインを抑えるはたらきをもつ生物学的製剤が選択されることがあります。

ビンゼレックス添付文書 2023年12月改訂（第4版）.

乾癬の治療法

乾癬の治療は、大きく外用療法（塗り薬）、光線療法（紫外線療法）、内服療法（飲み薬）、生物学的製剤（注射）の
4つに分けられます。ビンゼレックス®は生物学的製剤に分類されます。
乾癬の種類や重症度、症状があらわれている部位などにより各治療方法を単独もしくは組み合わせて行っていきます。
また、治療の効果や副作用、患者さんのライフスタイルを考慮して治療方法が選択されます。