あきた乾癬友の会(秋田いなほの会) | 支援制度とサポート 【明日の乾癬 by UCBCares】

ようこそ! 患者会

あきた乾癬友の会
(秋田いなほの会)

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現在、日本全国に24の乾癬患者会があり(2023年2月現在)、それぞれ独自に、乾癬に対する正しい知識、患者同士の交流・情報交換、専門医を講師とする勉強会、会報やSNSによる情報発信などを行っています。今回は、その1つである「あきた乾癬友の会(秋田いなほの会)」の代表を務める佐藤佳路子さんにお話をお伺いしました。

できるのを待つのでなく、自分で作る
全国で24 番目の患者会の誕生

2019 年7 月に発足した「あきた乾癬友の会」は、東北の患者会としては6番目、全国では24 番目になります。
代表を務める佐藤佳路子さんは患者会発足の立役者ですが、「まさか自分が患者会を立ち上げることになるとは思わなかった」と当時を振り返ります。
「私は17 歳で乾癬を発症して以来、長期間にわたり患っていますが、初めて患者会に参加したのは今から4 年前、NPO 法人 東京乾癬の会P-PAT のイベントでした。一番驚いたのは、とにかく皆さんの表情が明るいこと。
なぜ、こんなに明るくニコニコと楽しそうに過ごせるのだろうか、患者さん同士で相談ができたり情報交換ができたりするからメンタルが強くなるのだろうかなど、いろいろと考えました。そして一刻も早く、秋田に患者会ができればいいのに、と思うようになりました」。

佐藤佳路子さん

ところが、秋田に患者会ができる気配は一向にありません。佐藤さんは、いつになったら秋田に患者会ができるだろうかとP-PAT のスタッフに相談したそうです。すると返ってきたのは、「いっそのこと自分で立ち上げたら?」「ぜひ秋田に患者会を作ってください」というエールでした。
「私が作るの?! と最初は戸惑いました。でも、乾癬で悩んでいる皆がどのように乾癬と向き合い、どんな思いを抱え、どう乗り越えているのか、生の声を聞きたい。乾癬についての正しい情報を入手して皆と共有したい。そして、乾癬でも明るく元気に過ごせる生活環境を作っていきたい――そこで意を決して患者会を立ち上げました」。
患者会を発足するために、まず相談したのは、大学病院の主治医でした。
「先生は、快く相談医を引き受けてくださっただけでなく、患者会に興味を持つ患者さんを紹介してくださいました。そのおかげで、私も含めて会員20 名で発足することができました」。

「仲間・情報・治療」とつながることを目標にして活動

発足して今年3 周年を迎えた「あきた乾癬友の会」。秋田市内在住の60~ 70 代が中心で、7 対3 の割合で男性が多めですが、スタッフの髙岡千菜美さん(患者さんインタビュー 参照)のような若い女性も活躍しています。
会の大きな目標は、「乾癬という病気についての理解を深め、患者さんがストレスなく生活しやすい環境を整える」こと。そのために、
・ 乾癬の患者さん同士が交流を通して連帯感を培う
・ 治療支援と生活環境の向上をめざす
・ 常に正確な医療情報とつながる場となり、より良い治療法や検査法の確立に必要な協力を行うことを個別目標として、具体的には学習会、交流会・親睦会、会報の発行(年1 ~ 2 回)などを行っています。
ただ、この2 年ほどは、専門医や患者、地域の人たちとの絆をつなぐ上で重要な学習会や交流会は、新型コロナウイルス感染症の流行により開催しづらい状況でした。そこで同会では、さまざまなオンラインツールを通じて情報発信をする工夫をしています。

YouTube チャンネル

2020 年5月にYouTube にチャンネル「あきた乾癬友の会」を立ち上げ、「患者さんが知りたいことに応える」動画を制作、公開しています。
たとえば、治療用シャンプーについては、「添付文書やパンフレットを読んでも、なかなか患部にうまく塗れない」という声があるそうです。そこで、治療用シャンプーの効率的な使い方についての動画で、具体的な塗り方を紹介しています。また、爪が薄くなり割れやすくなっている方のために、「乾癬患者のネイルケアのメリット」も取り上げました。
そのほかにも「乾癬性関節症の痛みの対処」についての患者さんトーク、会の相談医監修・理学療法士による「乾癬性関節症の方のためのストレッチ」など、魅力的な動画が配信されています。

YouTubeのチャンネル「あきた乾癬友の会」

LINE オープンチャット「東北地方乾癬の輪」

会員でなくても匿名(ニックネーム)で気軽に書き込みができるのが、LINEオープンチャット「東北地方乾癬の輪」です。
東北地方だけでなく、全国各地からの参加があり、乾癬に関する心配事や困り事はもちろん、飼っているペットの自慢をしたり、素敵な風景写真を添えて自分の思いを打ち明けたり、と会話が盛り上がります。
チャット内で、“不安なことや言いづらいこと”を募集して、結果を動画にしてホームページとYouTube に公開したり、季節などをテーマにしたフォトコンテストを開いて、チャット内で投票を行い、最優秀作品に選ばれた写真はホームページ上に公開したりするなど、会の交流の活性化にも役立っています。
また、2022 年の世界乾癬デー(10月29 日)に向けては、“乾癬で困っていること”を募集。乾癬の患者さんなら共感できるさまざまな本音の声が集まり、その内容も動画で公開しました。
佐藤さんは、こうした「患者さんの本音」を動画にした狙いを、「乾癬で悩んでいる方、乾癬の治療をしてくださる先生、製薬会社の方々、そして乾癬を知らない方まで、多くの方に乾癬という病気をもっと知ってもらいたいから」と話します。
このオープンチャットは、会話は自由にできますが「乾癬患者やそのご家族が安心して利用できるように、誹謗中傷や不適切な発言、民間療法の紹介や営業・勧誘は禁止されているとのことです。

ポスターやカードを製作し
公共機関に働きかけて設置

患者会の活動の企画や運営については、主要スタッフ3 名で立案・計画・実施しています。
乾癬という病気をしっかりと理解している人は決して多くはなく、乾癬という漢字が読めない人もいれば、感染症のように人から人へうつる病気だと誤解している人もいるのが現状です。

名刺サイズの患者会広報用カード

「誰もがわかりやすい病名に変えてほしいという思いもありますが、まずは秋田市、ひいては秋田県の多くの方々に、乾癬という病気の存在を知ってもらうことが最優先です。そのためにはどうしたらいいのか、日々話し合っています」(佐藤さん)。
その1つとして実現したのが、七夕に向けたポスターです。オープンチャットで募集して集まった願い事をポスターにデザインし、病院や市役所、難病支援センターなどに働きかけて、貼ってもらいました。また、名刺サイズの患者会紹介カードも製作。コンパクトサイズなので地域の薬局、大学病院の外来窓口、相談医の診察室など、どこにでも置きやすく、多くの場所に配置してもらえるようになったそうです。

実際にどんな活動をしているかを
SNS やYouTube で見てほしい

乾癬は長期間にわたって共存していかざるをえない病気なので、患者さんには、人には言えないこと、つらいことがたくさんあります。佐藤さんは、「私たちは、この患者会を通して、患者さんたちに『ひとりじゃないよ』ということを伝え、元気になってもらいたいのです。この会の存在が患者さんやご家族の心のよりどころになれればと考えています」と話します。それだけでなく、将来は、「乾癬の患者さんの励みになるような新しい試みにチャレンジして、秋田から全国へ、そして世界へと発信していきたいと思います。『秋田ってすごいね』と言われるようになるのが目標です」と夢は広がります。
患者会への参加は、人によっては勇気のいることかもしれません。そのような人たちに向けて、佐藤さんは「急がなくていい」と言います。
「最初は別名や匿名で投稿できるオープンチャットやFacebook、Twitter などを利用して、困っていることや不安に思っていることなどを気楽に質問していただくだけでもいいと思います。患者会がどんな発信をしているのか、時間をかけてゆっくり知ってください。入会するかどうかは、それから考えていただければいいと思います」。

会報では、オンライン学習会の内容などを収録(会員限定)

「Rebrand Yourself 2023 Vol.3」2023年 7月掲載

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