HSはどうしてできるの?

HSはどうしてできるの?

HSはどうしてできるの?

HSは、最初は何らかの原因によって毛穴が詰まることで起こり、その後炎症が引き起こされることでできると考えられています 1)
また、HSは遺伝が関係している可能性もあるといわれています。
欧米では患者さんの家族の33%がHSでしたが、わが国では2~3%にどとまっています 1)

1) 化膿性汗腺炎診断の手引き策定委員会編:化膿性汗腺炎診療の手引き2020
日皮会誌 2021; 131(1): 1-28をもとに作成

HSを悪化させる原因は?

HSを悪化させる大きな原因として、肥満と喫煙があります 1)

HSを悪化させる原因

肥満

HS患者では肥満の割合が高く、HSの重症度はBMIの程度に関連します 1)
日本ではHS患者の15% 2)~16% 3)が肥満であったと報告されています。

喫煙

喫煙はHSを発症させる危険因子と考えられています 4)。喫煙をする人ではHSが軽快する割合は低くなっています 5)。日本人のHS患者で喫煙をしていた割合は29%でした 2)

1)化膿性汗腺炎診断の手引き策定委員会編:化膿性汗腺炎診療の手引き2020 日皮会誌 2021; 131(1): 1-28
2)Kurokawa I, et al.:J Dermatol. 42(7):747-749, 2015.
3)Hayama K, et al: J Dermatol. 47: 743-748, 2020
4)König A, et al: Dermatology. 198: 261-264, 1999
5)Canoui-Poitrine F. et al: J Am Acad Dermatol.61: 51-57,2009

HSの最適な治療タイミングは?

治療の遅れによって治療の効きが悪くなったり、再燃のリスクが高まるなどHSの悪化につながる可能性が報告されています 1)

HSの最適な治療タイミング Crohn病の疾患進行モデルに基づく

左右にスライドできます。

治療が10年を超えて遅れると、生物学的製剤の奏効率が約2倍低下する可能性がある 2)

対象
生物学的製剤治療を受けたHS患者389例
方法
多施設コホート研究。患者の性別、発症時/診断時/ベースライン時の年齢、肥満度、喫煙、表現型、前治療、併用抗菌薬、及びHS発症から生物学的製剤投与開始までの期間として定義された「治療遅延」を検討した。生物学的製剤に対する反応とQOLへの影響は、それぞれHiSCR、DLQIまたは疼痛VASを用いて検討した。
リミテーション
後ろ向き観察研究であること、対象を標準的な一次治療に抵抗性を示した中等度~重度のHS患者に限定していること

治療の遅延が生物学的製剤治療患者の再燃リスクの上昇と関連している 3)

対象
生物学的製剤治療を受けた中等症~重症のHS患者115例
方法
後ろ向き多施設共同研究。ベースライン時に性別、発症時/ベースライン時の年齢、治療の遅延、家族歴、BMI、喫煙、併存疾患、表現型、発症部位、Hurley病期分類、IHS4、DLQI、疼痛VASを収集した。単変量及び多変量Cox回帰を用いて、再燃とベースラインの特徴をモデル化した。単変量モデルで再燃と有意に相関した因子をAndersen-Gillモデルを用いて分析し、再燃との関係を検討した。
リミテーション
後ろ向き研究であること、再燃の定義が明確でないこと

BMI(body mass index 体格指数)DLQI(dermatology life quality index 皮膚疾患のQOL評価指標)
HiSCR(hidradenitis suppurativa clinical response 化膿性汗腺炎の臨床反応)HS(hidradenitis suppurativa 化膿性汗腺炎)IHS(international hidradenitis suppurativa severity score system 国際化膿性汗腺炎重症度スコアシステム)QOL(quality of life 生活の質)VAS(visual analogue scale ビジュアルアナログスケール)

1)Martorell A, et al.:Actas Dermosifiliogr. 107:32-42, 2016.
2)Marzano AV, et al.:Br J Dermatol. 184(1):
133-140, 2021.
3)Caposiena Caro RD, et al.:Ital J Dermatol Venereol. 157(2):137-141, 2022.

監修|
日本大学医学部 皮膚科学系 皮膚科学分野
主任教授 藤田英樹 先生